エンジニアと善意
最近、人間が会社でモチベーションを高く仕事を行えるときは、結構善意が関わっていると感じている。 レベルの高い仕事も、逆に余計な仕事も、基本的には良かれと思ってやってる面が大きい。
善意って?
「善意」とは、要は短期的に自分の得にならない行動を敢えて取って将来に繋げる心意気と考える。
誰に言われたわけでもない、実施することにより短期的に自身の身銭になるわけでもない行動を取り、 社会や会社に貢献する心意気。
勿論、良いことをするというのは長期的に自分の為になることが多いので、それを意識するかしないかについては一旦除外する。
善意の働くタイミング
そこそこお堅いSIerに勤めていて、モチベーションがそこそこ高い人が善意を発揮していると思うのは下記のような感じ。
- 高い頻度でシステム状況を確認し、障害が発生する予兆が無いかチェックしている
- 現在のシステムの課題を深く考え、対応策を検討し提出している(差し迫ってはいないが将来的に必要というレベル)
- 資料の展開や論理について細かく考え、誤りが無いかしっかり精査する
- 次の技術検討を継続的に実施する
上のようなことを書くと「何だ普通のことじゃないか!お前ちゃんとやれよ!」と思われるが、 そもそも大体のSIerは人月商売である以上、頑張りは給与にほぼ反映されない。 残業代が支配的なので、実は上記の作業を進んで行う理由などない。 なお、上記の作業タスクは当然運用手順として厳密に定義することができるが、 定義すると大概やる気が無くなったりする。
善意が裏目に出るとき
モチベーション高い行動が、時々裏目に出ることがある。
- システムに勝手にアクセスするだけで怒られる環境(手続きが大変面倒くさい)
- ユーザログイン重複ができない仕様があり、エラーが発生
- 脆弱性修正したい…という提案で、言葉に出しちゃったから黙殺できないけど本番作業手続きが面倒だ糞野郎という目で見られる
- 資料に誤りがあったので修正したが、差し替えの調整が面倒だと戻されたりする
しかし善意を否定されたらモチベーションはだだ下がりする。 モチベーションが下がった人間の行動志向がこちら。
- 言われたことだけやるよ
- 担当システムも別に省みない 触らぬ神に祟りなし
- 資料間違ってたけど別にいいや 間違ったまま引用しちゃえ 触らぬ神に祟りなし
理想、希望
善意は、守ろう。善意がフルに活用される環境を作ろう。作ってください。
今まで自身の善意的衝動に何があるかなと思ったら、「見守り」と「改善」が大きいと感じたので、 その2つを安全に加速する仕組みと体制を作ることが重要。
- システム状況をいつでも、詳細に把握できるよう性能情報を取れる限り、一元管理するシステムを構築する。性能管理サーバや監視サーバのこと。そしてそれらへのアクセスを「本番」扱いして遠ざけることはせず、変更できないユーザを作って自由にアクセスできるよう展開する。
- 「改善」に関しては改善しないことのデメリットをきちんと把握して、関係者の間でちゃんとメリットデメリットを天秤にかけよう。報告者以外の当事者意識を刺激しないといけない。後は変更に関する手続きの無駄を省くように努力したいが、これはかなりお客さんと企業に依存する。
善意には限りがあり、手続きが面倒だと「そこまで面倒くさいなら別にいいです」となってしまうので、 出来る限りそういう障壁を除くよう努力したいし、除けるような組織であって欲しいと思う。